地域の資源を活用した企画

・ 逃げ地図には、避難目標地点もしくは緊急避難場所に至る避難時間や避難方向が記されていることから、逃げ地図を使ったイベントはそれらを現地で確認することが起点となる。

・ 逃げ地図を活用した「キツネを探せ」は、子どもに焦点をあて、地域の歴史的な防災資源を巡りながら避難目標地点(緊急避難場所)に向かう防災学習イベントである。地域の歴史的な防災資源を活用することで参加者の地域に対する関心と愛着心を高めるとともに、多世代交流の機会を創出している。

・ 「キツネを探せ」は、タブレットに配信される映像を使い、昔からの外遊び、得点を競うというゲーム性を内包しており、いわば楽しみながら地域の防災資源について学ぶことで波及効果を高めている。

・ 「キツネを探せ」のプログラムには、避難経路に配置した「避難を諦めている高齢者」にどのように声をかけるのかという防災ゲーム・クロスロードの要素もあり、人的な防災資源を含めてプログラム化している点も注目に値する。

 

●参考事例

陸前高田市広田町では、2014年8〜9月に中学生、消防団、漁協女性部ら地元関係者によって作成された逃げ地図を町内の各公民館に掲示する等して普及に努めてきたが、一定の限界があった。また、地元の小中学生の中には、逃げ地図に示された避難経路を歩いた経験に乏しく、保護者の中には日常的な安全性に対して不安の声があがっていた。そこで、逃げ地図に表示された避難経路をA海岸→B津波遡上点→C緊急避難場所→D指定避難所の順に体験するコースを巡る「キツネを探せ!in陸前高田」というアートイベントを実施した。

逃げ地図を活用した「キツネを探せ! in 陸前高田」の大野コース
逃げ地図を活用した「キツネを探せ! in 陸前高田」の大野コースと実施風景

下田市旧市街地区では、2016年10月に作成した逃げ地図を活用して、まちで遊びながら防災について学ぶ「下田遊ぼう祭2016」(http://asobousai.info)を開催した。この「遊ぼう祭」では、開発したアプリを使って津波避難ビルへの避難時間を競う「petapeta×防災」のほか、過去の津波の痕跡等の防災資源を学びながら、緊急避難場所の高台に共同で避難する「キツネを探せin下田」が行われ、地区内外から大勢の老若男女の参加者を集めた。

逃げ地図に観光情報を加えた下田遊ぼう祭2016のパンフレット
遊ぼう祭で逃げ地図作成後に避難訓練を行ったことを報じた下田中学校の学校便り

多世代交流型イベントの重要性

・従来型の避難訓練や防災イベントは、参加者が高齢化・固定化する傾向にあり、避難活動に関する関心をさらに高め、災害時の自助・共助の取り組みを進めるには、多世代交流を促すことが重要である。

・逃げ地図づくりワークショップは、避難に関する自助や共助について検討し、多世代交流を促す好機となっているが、どうしても参加者が限定される傾向にある。こうしたことから、作成した逃げ地図を活用して避難に関する自助や共助の取り組みを促進する多世代交流イベントの開催が求められている。

・作成した逃げ地図を活用して陸前高田市広田地区と下田市旧市街地で開催された「キツネを探せ」というアートイベントは、楽しみながら避難に関する自助・共助の重要性や地域の防災に関する歴史を学び、多世代交流を促進する好機として関係者の高い評価を得ている。