(1) 逃げ地図を活用した避難計画の検討

・逃げ地図ワークショップを主催した自主防災組織又は自治会等の協議会において、作成した逃げ地図を活用して、次の事項について主体的に検討し、市町村と協働して避難計画を検討することが重要である。
① 緊急避難場所(高台の避難広場、津波避難ビル等)の指定
② 避難通路・避難階段等の整備
③ 避難行動要支援者の避難方法
④ 災害時における避難に関する協定
⑤ 旅館など事業者の観光客への周知活動
⑥ 避難訓練の方法

・緊急避難場所は避難所と区別し、地震や津波、土砂災害災害等の異常な現象ごとに指定することが重要である。詳しくは「3−6 緊急避難場所を指定する」を参照。
・避難行動要支援者の名簿作成とその事前開示は、災害対策基本法で義務付けられていることから、避難行動の支援の実施に係わる関係者は、作成した逃げ地図を活用して、事前に具体的な避難方法を検討しておくことが重要である。

 

●参考事例

下田市吉佐美地区では、津波からの逃げ地図に土砂災害警戒区域図を重ねた地図を作成したところ、区指定の緊急避難場所23 カ所中 3 カ所が急傾斜地崩落危険箇所等、1 カ所が土石流危険渓流等と重なっていた。また、急傾斜地崩落危険箇所等として色塗りされた区域内に道路が多く見られたことから、津波からの逃げ地図と津波+土砂災害を考慮した逃げ地図を作成・比較することで、吉佐美区が指定した緊急避難場所を検証した。

緊急避難場所を検証した吉佐美区の逃げ地図WSの案内
佐美区の逃げ地図WSの様子

秩父市久那地区では、土砂災害からの逃げ地図を作成した久那地区の関係町会はそれぞれ、作成した逃げ地図を活用して、指定緊急避難場所を見直すとともに、災害時に緊急避難場所として利用したい民間施設の所有者に協力をお願いした。また、避難行動要支援者の避難方法について検討を重ねることとした。

避難準備・避難勧告・避難指示等の発令基準

(2) 避難に関する発令時に留意した避難計画の検討

・大雨等に伴う洪水や土砂災害等、気象条件の変化に応じて、避難準備・高齢者等避難開始や避難勧告、避難指示(緊急)を発令する災害については、その発令時の状況や住民に求められる行動を念頭に、どこにどのように避難するかを検討する必要がある。

避難準備・避難勧告・避難指示等の発令基準

発令時の状況 住民に求められる行動
避難準備・高齢者等避難開始 ・避難行動要支援者や高齢者等、特に避難行動に時間を要する者が避難行動を開始しなければならない段階であり、人的被害の発生する可能性が高まった状況(避難所は開設し、自主避難) ・避難行動要支援者や高齢者等、特に避難行動に時間を要する者は、計画された避難所への避難行動を開始

・上記以外の者は、家族等との連絡、非常用持出品の用意等、避難準備を開始

避難勧告 通常の避難行動ができる者が避難行動を開始しなければならない段階であり、人的被害の発生する可能性が明らかに高まった状況 通常の避難行動ができる者は、計画された避難場所への避難行動を開始
避難指示(緊急) ・前兆現象の発生や、現在の切迫した状況から、人的被害の発生する危険性が非常に高いと判断された状況

・堤防の隣接地等、地域の特性等から人的被害の発生する危険性が非常に高いと判断された状況

・人的被害の発生した状況

・避難勧告等の発令後で避難中の住民は、確実な避難行動を直ちに完了

・未だ避難していない対象住民は、直ちに避難行動に移るとともに、そのいとまがない場合は生命を守る最低限の行動(建物内での鉛直避難等)

(参考)
・「避難準備情報」の名称については、2016年台風10号の水害の際、岩手県岩泉町の高齢者施設において適切な避難行動がとれなかったことを重く受け止め、内閣府(防災担当)は高齢者等が避難を開始する段階であるということを明確にするため、同年12月に「避難準備情報」を「避難準備・高齢者等避難開始」に名称変更することにした。

・避難勧告等に関する過去の検討経緯は、こちら を参照のこと。http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/guideline/pdf/161027_siryo02.pdf

・内閣府(防災担当)が2015年8月に一部改定した「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」は、こちら を参照のこと。http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/guideline/guideline_2015.html