(3) 土砂災害からの逃げ地図づくりの手順

① 土砂災害警戒区域等の区域を地図上で確認する
・各都道府県が公開している土砂災害警戒区域と土砂災害危険箇所の地図情報を入手する。
→国交省のサイト http://www.mlit.go.jp/river/sabo/link_dosya_kiken.html
・土砂災害警戒区域(および土砂災害特別警戒区域)の位置や範囲を把握して、ベースマップに記す。
例)静岡県→http://www.gis.pref.shizuoka.jp/?mp=9001
・土砂災害危険箇所(土石流危険区域、急傾斜地崩壊危険区域、地滑り危険箇所等)の位置も合わせて参照することが望ましい。
例)神奈川県→http://dosyasaigai.pref.kanagawa.jp/website/kanagawa/gis/index.html
・過去に崖崩れや地滑り等が発生した地域では、小規模でもその履歴や位置を予め把握しておくか、WSのグループワークの際に、地域住民からの発生箇所や状況を確認し、地図に記すことが望ましい。

事例:秩父市久那地区

② 避難目標地点を設定する
1:土砂災害からの逃げ地図は、避難勧告時を想定して作成する。
2:避難目標地点は、雨風をしのげて一定の時間滞在可能な屋内の避難場所について、土砂災害ハザードマップと建物の構造・階数の両面から設定する。
安全な場所→「(2)土砂災害から安全な避難場所とは」
安全な建物→鉄骨鉄筋コンクリート造の堅牢な構造で2階建て以上の建物
3:土砂災害警戒区域内にあっても「安全な建物」は、緊急避難場所になりうるが、逃げ地図作成にあたっては、土砂災害警戒区域外の避難目標地点を設定して検討する。
4:公的施設だけでなく民間施設(ホテルや民家等)も避難場所として考えられるが、設定する場合は関係地権者との合意形成が必要となることから、公的施設と民間施設では色を変えて区別できるようにすることが望ましい。

事例:秩父市久那地区

③ 避難障害地点を設定する
・土砂災害警戒区域内および土砂災害危険箇所は通行上危険性が高いため、避難障害地点(×)として記し、それを避ける経路を選択する。

④ 避難時間を可視化する
・土砂災害からの逃げ地図も、津波からの逃げ地図作成と同様に、避難目標地点から逆算し、単位時間ごとに色分けを行う。津波からの逃げ地図と同様に避難に係る歩行速度を43m/分とし、避難に要する時間が3分以内の道路を緑、3~6分を黄緑、6~9分を黄色というように色分けを行う。
・一般に夜間の歩行速度は昼間の80%程度低下することから、歩行速度を34m/分として避難時間を可視化する。雨天時の避難速度もある程度低減するものと思われる。

⑤ 避難方向を図示する
・避難警戒区域外への避難方向の検討後、一定時間とどまる避難目標地点への避難方向に矢印を入れる。逃げ地図自体はあくまでドライに最短ルートの避難方向を図示する。

(1) 津波からの逃げ地図づくりにあたって

・ 地震時の津波発生が想定される地域では、①主体的な避難行動の徹底、②避難行動を促す情報の確実な伝達、③より安全な避難場所の確保、④安全に避難するための計画の策定、⑤主体的な行動をとる姿勢を醸成する防災教育等の推進を目的に、津波避難計画を策定している市町村が多い。

・ 津波からの逃げ地図の作成は、住民等がその策定プロセスに参画する手法であり、津波避難計画の策定およびその見直しのPDCAサイクルに位置付けることができる。

(2) 津波からの逃げ地図づくりの手順

① ハザードマップや浸水記録の入手
・関係行政機関が出している。
・被災地の場合は、行政発表の津波浸水記録と実際の地域住民の証言とは異なることが多いので、ワークショップの最初に改めて地域住民と浸水範囲について確認する。

② 避難目標地点の設定
・指定避難場所をゴールとするのではなく、安全な標高の場所に繋がる道路、すなわち最大浸水域の境界と道路が交差する点を避難目標地点とすることが望ましい。それ以上の標高に逃げるかどうかは自主判断による。
・下田市吉佐美地区のように、地元区が指定した緊急避難場所の妥当性を検証するため、指定避難場所を避難目標地点として津波からの逃げ地図を作成する事例もある。

③ 避難障害地点を設定する
・土砂災害警戒区域内および土砂災害危険箇所は通行上危険性が高いため、避難障害地点(×)として記し、それを避ける経路を選択する。

④ 避難時間の可視化
・避難目標地点から逆算し、単位時間ごとに色分けを行う。その際の基準の速度は、後期高齢者が10%勾配の坂を上ることを想定して分速43mとし、避難に要する時間が3分以内の道路を緑、3~6分を黄緑、6~9分を黄色というように色分けを行う。

⑤ 避難方向の図示
・道路を色分けする際とは逆に道路の色を辿ることで、ある地点から高台に最も早く到達するルートを図示することが可能である。
・ただし、最短距離を選択するために、一度海の方向に逃げるルートを通らなければならないなどのケースがあるため、実際にそのルートで避難するかはワークショップ後に参加住民と議論する、逃げ地図自体はあくまでドライに最短ルートを記載する。

(1) 土砂災害からの逃げ地図づくりにあたって

・土砂災害は、津波や洪水の浸水害とは異なり、災害の規模や発生時刻の予測が難しいが、逃げ地図WSを通して、その地域の土砂災害の潜在リスクや脆弱性を認識して、事前の対策を講じることは重要である。
・土砂災害から逃れるには、気象警報に注意し、自ら得た土砂災害の前兆現象等に基づき、自ら安全な場所へできる限り早期に避難することが最も重要である。
例)土砂災害の前兆現象→http://www.kendoseibi.pref.gunma.jp/section/sabo/hp/main_page_0402.htm

・すでに大量の降雨があり、がけがすでに崩壊あるいは避難経路ががけ崩れで通行不能等、外部へ避難すると逆に危険なケースもある。土砂災害特別警戒区域内にあっても2階建て以上の鉄筋コンクリート造の建物であれば、建物内にとどまり、がけ斜面と反対側に避難すれば安全であるとされている。
例)安全な構造→http://www.sabo.pref.hiroshima.lg.jp/portal/kaisetsu/keikaihelp/05_07.htm

土石流の高さ以下はRC造の耐力壁で基礎と一体の構造

・土砂災害からの避難場所は、避難開始のタイミングに応じて検討する必要がある。すなわち、①避難準備・高齢者等避難開始(避難行動要支援者などが指定避難場所へ避難開始)、②避難勧告(避難警戒区域外への避難)、③避難指示時(安全な建物の安全な場所又は避難警戒区域外)など避難開始のタイミングに応じて避難場所を検討する必要がある。
参考)http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chousakai/saigaijihinan/4/pdf/sankoushiryou_2.pdf

(2) 土砂災害からの避難対象地域

・土砂災害特別警戒区域および土砂災害警戒区域

・土砂災害危険箇所のがけの上端から10m以内の場所
または、がけの下端からがけの高さの2倍(最大50m)を超えた場所

秩父市上白久地区の土砂災害警戒区域

土砂災害からの逃げ地図づくりの手順

① 土砂災害警戒区域等の区域を地図上で確認する
・各都道府県が公開している土砂災害警戒区域と土砂災害危険箇所の地図情報を入手する。
→国交省のサイト http://www.mlit.go.jp/river/sabo/link_dosya_kiken.html
・土砂災害警戒区域(および土砂災害特別警戒区域)の位置や範囲を把握して、ベースマップに記す。
例)静岡県→http://www.gis.pref.shizuoka.jp/?mp=9001
・土砂災害危険箇所(土石流危険区域、急傾斜地崩壊危険区域、地滑り危険箇所等)の位置も合わせて参照することが望ましい。
例)神奈川県→http://dosyasaigai.pref.kanagawa.jp/website/kanagawa/gis/index.html
・過去に崖崩れや地滑り等が発生した地域では、小規模でもその履歴や位置を予め把握しておくか、WSのグループワークの際に、地域住民からの発生箇所や状況を確認し、地図に記すことが望ましい。

事例:秩父市久那地区

② 避難目標地点を設定する
・土砂災害からの逃げ地図は、避難勧告時を想定して作成する。
・避難目標地点は、雨風をしのげて一定の時間滞在可能な屋内の避難場所について、土砂災害ハザードマップと建物の構造・階数の両面から設定する。
安全な場所→「土砂災害から安全な避難場所とは」
安全な建物→鉄骨鉄筋コンクリート造の堅牢な構造で2階建て以上の建物
・土砂災害警戒区域内にあっても「安全な建物」は、緊急避難場所になりうるが、逃げ地図作成にあたっては、土砂災害警戒区域外の避難目標地点を設定して検討する。
・公的施設だけでなく民間施設(ホテルや民家等)も避難場所として考えられるが、設定する場合は関係地権者との合意形成が必要となることから、公的施設と民間施設では色を変えて区別できるようにすることが望ましい。

事例:秩父市久那地区

③ 避難障害地点を設定する
・土砂災害警戒区域内および土砂災害危険箇所は通行上危険性が高いため、避難障害地点(×)として記し、それを避ける経路を選択する。

④ 避難時間を可視化する
・土砂災害からの逃げ地図も、津波からの逃げ地図作成と同様に、避難目標地点から逆算し、単位時間ごとに色分けを行う。津波からの逃げ地図と同様に避難に係る歩行速度を43m/分とし、避難に要する時間が3分以内の道路を緑、3~6分を黄緑、6~9分を黄色というように色分けを行う。
・一般に夜間の歩行速度は昼間の80%程度低下することから、歩行速度を34m/分として避難時間を可視化する。雨天時の避難速度もある程度低減するものと思われる。

⑤ 避難方向を図示する
・避難警戒区域外への避難方向の検討後、一定時間とどまる避難目標地点への避難方向に矢印を入れる。逃げ地図自体はあくまでドライに最短ルートの避難方向を図示する。

急傾斜地の崩壊に係る土砂災害警戒区域等の模式図
土石流に係る土砂災害警戒区域等の模式図
地すべりに係る土砂災害警戒区域等の模式図

出典:土砂災害防止法令の解説(監修:国土交通省河川局水政課・砂防部砂防計画課)